なぜ、「トランス脂肪酸」は避けなければならないのか?

前回は、脂肪酸の種類と働きについてお伝えしました。

脂肪酸は脂肪という言葉のイメージがあるため、とくに気にかかる栄養素ではないでしょうか?

実際、普段の食生活のなかで積極的にとるべき脂肪酸と控えるべき脂肪酸をしっかりと意識しておきたいですね。

これまでお伝えしてきた脂肪酸は、しっかりバランスを考えれば問題ないものでした。しかし、できるだけ食べるのを避けてほしい脂肪酸もあります。

それがトランス脂肪酸です。

今回は“食べるプラスチック”とまでいわれているトランス脂肪酸についてお伝えしていきますね (>_<)

目次

トランス脂肪酸ってどんなもの?

トランス脂肪酸とは?

トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種ですが、「トランス型」に分類されています。

前回の記事でお伝えした、「オレイン酸(オメガ9系)・リノール酸(オメガ6系)・αリノレン酸(オメガ3系)」はシス型。

トランス脂肪酸は次の過程でつくられる、いわば“副産物”です。

トランス脂肪酸をつくる過程
  • マーガリンを製造する際に、液状となっている「不飽和脂肪酸」を固形にする過程
  • サラダ油など、植物油の加工の際に水素添加をほどこして「飽和脂肪酸」に変化させる過程

早い話が、人工的につくられたものなのでもっとも避けるべき脂であるということですね (>_<)

トランス脂肪酸の弊害

トランス脂肪酸の弊害とし、次のようなものがあります。

トランス脂肪酸の弊害
  • 必須脂肪酸としての機能を持っていないので、生体膜の材料としては役に立たない
  • 細胞膜の機能を妨げ、細胞膜から漏れやすい状態にな有害物質が細胞内に侵入しやすくなる
  • 善玉コレステロールを減らし、悪玉コレステロールを増やす
  • フリーラジカルを多くつくる
  • 抗炎症のプロスタグランディンをブロックし、糖がアドレナリン・コルチゾル・インスリンの生成を刺激する。これらは全てプロゲステロンの分泌を妨げて、コルチゾルとプロラクチンのレベルを高めてしまう

このような作用は血管を硬く・狭くしてしまうので、動脈硬化や血栓を促進してしまうのです。これは脳にも影響を与え、脳卒中・アルツハイマー・パーキンソン病の原因にもなるので注意が必要ですね (>_<)

また、血中の中性脂肪の大部分をしめるトリグリセロールが増加するので、インスリン抵抗が増えて肥満・高血圧・糖尿病・心臓病・胆石・ホルモンバランスの崩れ・アレルギーの促進・喘息・アトピー性皮膚炎を激化させてしまうのです。

トランス脂肪酸を野放しにしていることが、日本のアトピー問題を深刻化させている大きな原因といえるかもしれません。

トランス脂肪酸が含まれている食品

  • マーガリンショートニング・加工油・クッキー・クラッカー
  • パンケーキ・キャンディー・チョコレート・スナック菓子・コーヒーフレッシュ・アイスクリームなどの甘いもの
  • フライなどの揚げ物・レトルトカレー・サラダ油・ドレッシング・マヨネーズ・その他あらゆる加工品

トランス脂肪酸に対する、欧米と日本の認識の違い

ヨーロッパ各国

  • トランス脂肪酸の削減・追放運動
  • トランス脂肪酸を含む、マーガリンの製造全面停止
  • 食品中のトランス脂肪酸許容含有量の軽減化を法律化・禁止の方向
  • トランス脂肪酸の含有量の表示を義務化

アメリカ

2006年から、加工食品にトランス脂肪酸の含有量の表示を義務化

日本

トランス脂肪酸の危機意識がうすく、野放し。自分で身を守るしかない状態

マーガリンは“食べるプラスチック”??

あなたは、マーガリンを“食べるプラスチック”という言葉で表現されているのを聞いたことはありませんか?

マーガリンの脂肪酸分子を顕微鏡でみると、プラスチックにそっくりなのでそのように表現されているのですね。

しかし、科学的にはプラスチックとマーガリンなどの脂肪酸は分子構造や大きさがまったく違うようです。

では、このような言葉はどこからうまれたのでしょうか?

プラスチックは食べ物ではないので、プラスチックのような食品という表現があたえる印象はとても強いですよね。

他にも、常温で放置しても腐らないしカビもしないので、“食べ物ではない”とも表現されています。 

おそらく、この話が元ネタとなり

トランス脂肪酸の多い油脂はプラスチックだ!

腐らないのはおかしい!

という説が広まったのではないでしょうか?

常温で液体の状態にある植物性脂を固体にするために水素添加をします。このとき化学反応により、含まれている油脂を飽和脂肪酸から不飽和脂肪酸に変化させたときにできる副産物がトランス脂肪酸となるのです。

マーガリンに限らず、他のトランス脂肪酸もこの過程でできる人工的なもの。これが上記でお伝えしたような悪玉コレステロールを増やすなどの作用を及ぼすので、体に悪いとされたのかもしれませんね (>_<)

まとめ

トランス脂肪酸は人工的かつ自然界にはない脂です。つまり不自然なものであるということ。

不自然なものを体にいれると、細胞膜や細胞の働きをくるわせたり、体内のビタミンやミネラルの無駄使いをしてしまうのです。

そのようなことから、アメリカやヨーロッパの多くの国ではトランス脂肪酸の製造を禁止したり、含まれている量を表示することを義務化するほど重要視しています。

一方、日本はようやくトランス脂肪酸に対する規制を考えるようになってきましたが、実行までにはまだまだ時間がかかるようです。

すべてを避けるのは難しいですが、できるだけトランス脂肪酸を摂らないように気をつかいながら、普段の食生活を意識してみてくださいね (^_-)-☆

【次回はこちら↓↓】

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