自律神経の不調、その背景に「血糖値」はありませんか?

不安感や動悸、気分の浮き沈み、寝ても疲れが取れない感じ。

こうした不調が続くと、多くの方は「ストレスが溜まっているのかな」「気持ちの問題かもしれない」と考えがちです。

もちろん、ストレスが自律神経に影響を与えることは事実です。ですが実際には、ストレス以外の“体の内側の状態”が引き金になっているケースも少なくありません

そのひとつが、血糖値の乱れです。食事の内容やタイミングによって血糖値が大きく乱高下していると、自覚がないまま自律神経に負担をかけ続けていることがあります。

今回は、 血糖値と自律神経の関係を通して、不調が起こる仕組みを体の視点から見ていきます。原因が分かることで、これまで抱えていた不安が少し軽くなるかもしれません。

目次

自律神経の不調=ストレスだと思っていませんか?

血糖値が乱れる前に、体の中で起きていること

血糖値の乱れというと、「甘いものを食べたから急に下がる」といったイメージを持たれがちですが、実際にはもう少し手前の段階から体には負担がかかっています。

多くの方に共通しているのが、日常的なストレスです。仕事や人間関係、時間に追われる生活が続くと、体は無意識のうちに緊張状態に入り、交感神経が優位な状態が長く続きます。

交感神経が優位になると、体は「今は頑張るときだ」と判断し、エネルギーを使えるよう血糖値を上げる方向に働きます。これは本来、短時間であれば問題のない正常な反応です。

しかし、緊張した状態が一日中続いているとどうなるでしょうか?

血糖値は上がったまま下がりにくくなり、そこに甘いものや糖質の多い食事が重なることで、体は常に“高い血糖を維持しようとする状態”になります

この状態が続くと、血糖値を調整する仕組みそのものに負担がかかり、少しのきっかけで血糖が下がりすぎたり、逆にうまく保てなくなったりします。結果として、食後の強い眠気・だるさ・集中力の低下といった症状が現れやすくなります。

それでも仕事や家事は止められず、気合で乗り切ろうとすることで、さらに緊張が強まり、同じ状態を繰り返してしまう方が非常に多いのです。

血糖値は「生命を守るための最優先事項」

血糖値が下がると、まず脳が敏感に反応します。脳は主にブドウ糖をエネルギー源として働いているため、血糖が大きく下がった瞬間に、「これは危険な状態かもしれない」と判断します。

その判断が下されると、体を守るために交感神経が一気に働きます。これは、脳が生命を守るために、体を一気に活動モードへ切り替えようとする本能的な反応です。

交感神経が急に優位になることで、強い不安感や動悸、そわそわして落ち着かない感覚といった反応が現れます。これらは決して異常なものではなく、体が自分を守ろうとして起こしている、正常な防御反応です。

血糖値の乱れが続くと、自律神経は休めなくなる

血糖値が下がるきっかけは、必ずしも特別なことではありません。食事の間隔が空きすぎていたり、朝食を抜いていたり、甘いものや糖質中心の食事が続いていたりするだけでも、血糖は下がりやすくなります。

このように、知らず知らずのうちに自分の体の内側に負担をかけている方は少なくありません。

血糖値の低下が頻繁に起こると、そのたびに交感神経がオンになり、体は緊張状態に入ります。本来であれば、交感神経が働いたあとには副交感神経が優位になり、体は自然と回復モードへと切り替わります。

しかし、血糖値の乱れが続いていると、この切り替えがうまくいかなくなります。休もうとしてもなかなか力が抜けなかったり、知らず知らずのうちに体がこわばっていたり、理由ははっきりしないのに不安感が続いていたり。

こうした状態は、「自律神経が乱れている」というよりも“体が回復するタイミングを失い、休めない状態が続いている”と考えたほうが近いかもしれません。

さらに、体が緊張した状態では呼吸は浅くなり、内臓の働きも低下しやすくなります

すると、血糖値を安定させるために必要な消化や吸収の働きまで落ちてしまい、不調がなかなか抜けない…という悪循環に入ってしまうのです。

まとめ不調の原因は、日頃の習慣で改善できる

自律神経の不調やメンタルの揺らぎは、意志の弱さや性格の問題だけではありません。

日々のストレスや食事のタイミング、体の緊張状態などが積み重なり、血糖値や自律神経に負担がかかっていることで症状として現れているケースは多く見られます。

食事を見直すことはとても大切ですが、それだけで整いきらないことも少なくありません。体がきちんと休める状態かどうか、呼吸が浅くなっていないか、無意識に力が入り続けていないか。

こうした日頃の習慣や体の使い方を見直すことで、自律神経は少しずつ本来のリズムを取り戻していきます

もし不調が続いているのであれば、「頑張り方」を変えるのではなく、体の状態を整えることから始めてみるのもひとつの選択肢かもしれません。

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