前回は、『脂質の“種類と働き”』についてお伝えしました。
ところで、あなたは“脂質”ときいて何を思い浮かべるでしょうか?
- あまり摂らないほうがいい?
- 取りすぎると“太って”しまう・・・
などのようにイメージするかもしれませんね・・(^^;)
確かにこのように思う方が多いかもしれませんが、『脂質』は体にとって大事な“栄養素”。どの栄養素もしっかりと、バランスよく摂ることが大事なのです。
そして食事のなかでバランスよく脂質をとるためには、脂質の“主成分”である「脂肪酸」を知ることが大切になります。
そこで、今回は『脂肪酸の“種類と働き”』についてお伝えしていきますね。
“積極的にとるべき脂肪酸”と“控えるべき脂肪酸”を理解し、日常の食事のなかでバランスよく『脂質』を摂っていきましょう (^^)v
『脂肪酸』とは?
「トリグリセリド(中性脂肪)・コレステロール・リン脂質・脂肪酸」の総称が『脂質』です。つまり『脂肪酸』とは“脂質を構成する成分”の1つ。しかも“主成分”となっているのです。
多くが脂質を構成するグリセリンに結合して存在していますが、いわゆる「油(油脂)」は、このグリセリンという物質に“3つの脂肪酸が結合したもの”から構成されています。
『脂肪酸』の種類
『脂肪酸』は大きく分けて、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分類。
さらに、不飽和脂肪酸は“一価不飽和脂肪酸(オメガ9系)”と“多価不飽和脂肪酸(オメガ6系・オメガ3系)”に分けられます。
「オメガ6系(リノール酸)」と「オメガ3系(αリノレン酸)」は、人体で合成できない脂肪酸なので“必須脂肪酸”とよばれています。
※“飽和脂肪酸”と“一価不飽和脂肪酸”は人体で合成できる。
①「飽和脂肪酸」(コレステロール)
日本人は「飽和脂肪酸」を摂り過ぎている!?
「飽和脂肪酸」は固まる温度が高いのが特徴。牛や豚などは“人間より体温が高い”ので、人体に入ると固まりやすくなるのです。
そして、「飽和脂肪酸」は“コレステロールの原料”となり、コレステロールは“女性ホルモンの原料”となります。
ですのでコルステロールをまったく摂らないと、女性ホルモンである「プロゲステロン」が不足。結果、生理がこなくなってしまうことがあるのです。
しかし、それ以上に日本人の食生活の“欧米化”により肉や肉加工食品を多く食べるようになったので、飽和脂肪酸の摂取量も増えてしまいました。
その結果、小・中・高・大学生のコレステロール量は、なんと“世界一!”
これは、あきらかに“飽和脂肪酸の摂り過ぎ”です!!
例をあげますが、飽和脂肪酸はこんなところにも隠れているんですよ!
- ラザニア:59.3%
- ドリア:51.6%
- ハンバーガー:48.1%
- ナポリタンスパゲティ:36.0%
- 即席油揚げうどん:34.9%
- ビーフカレーライス:27.9%
- かつ丼:27.1%
「飽和脂肪酸」を摂りすぎると・・・
「飽和脂肪酸」が多く含まれている食べものは“コレステロール値が高い”です。
例えば、“脂肪が多い肉”を食べた場合、数時間たつと血液が“ベタベタ”して粘度が高くなり血液が流れにくくなってしまいます。
その結果、血液によって細胞に送られる“酸素”や“栄養素”がうまく運ばれず疲労感がでたり、体の働きがスムーズにいかなくなってしまうのです。
ですので、“スポーツや仕事の前”に肉を食べるのはあまり良くないといえますね。
また、日ごろ肉を多く食べると、血液中にコレステロールや中性脂肪が増えて動脈硬化をおこします。そして“脳や心疾患・糖尿病・がん・ホルモンバランスの崩れの原因”になるので注意!
さらに、飽和脂肪酸は“痛みや炎症を起こすタイプ”の「プロスタグランディン」をつくるので、“生理痛”がひどくなってしまいます。
こう考えると、現代の日本では、肉や牛乳から必要以上の「飽和脂肪酸」を摂っているといえますね。
その結果として、さまざまな病気を引き起こしているんですね (>_<)
いま“注目”されている「脂肪酸とは」?
いま注目されている「脂肪酸」として、“中鎖脂肪酸”の『ココナッツオイル』があります。
『飽和脂肪酸』には、
- 短鎖脂肪酸・・・バター、酢(酢酸)など
- 中鎖脂肪酸・・・牛乳、母乳、ココナッツオイル
- 長鎖脂肪酸・・・バター、牛、豚
などがあり、このうち「中鎖脂肪酸」が注目されているのです。
注目されている理由は、中鎖脂肪酸が腸での消化・吸収に“消化酵素の助けを必要としない”ので、
- 長鎖脂肪酸の4倍ものスピードで“吸収”される
- 長鎖脂肪酸の10倍のスピードで“エネルギー代謝”される
というメリットがあり、肥満や動脈硬化などの原因になる“中性脂肪に変化されにくくなる”からです。
すぐにエネルギーになるので代謝が上がり、エネルギーが高まるとともに病気から身を守り回復を高めてくれます。
代謝が上昇することで脂肪の新陳代謝のスピードも上がり、肝臓の健康にも役立つのです。
②「単価不飽和脂肪酸」
オレイン酸(オメガ9系)
『オレイン酸』は、「オリーブオイル」や「キャノーラ油」に多く含まれていて、“LDL(悪玉コレステロール)”を減らし、“HDL(善玉コレステロール)を増やしてくれます。
- 動脈硬化の予防
- 心疾患の予防
- X線、放射線から体を守る
- 胃酸過多や胃潰瘍を改善する
- 便秘の予防・改善
『オレイン酸』は、他に“マカダミアナッツ・アーモンド・ピスタチオ・カシューナ・アボガド”などにも多く含まれています。
※ただし、“必須脂肪酸ではない”ので、「必ず摂らなけらばならない!」ということはありません。
オリーブオイルは“優秀な油”
「オリーブオイル」は、オレイン酸が70%含まれていて“酸化しにくい”のが特徴。植物性脂油のなかで最も吸収がよく、脂溶性ビタミンも含まれています。
そして、体内で発ガンの恐れのある“過酸化脂肪”をつくりにくいので、加熱料理にもいいですね (*^^)v
オリーブオイルの有効性について南イタリアを中心とする地中海地方では、他のヨーロッパの国々に比べて“心臓病による死亡率が低い”というデータがあります。
これは南イタリアでは、パスタなどの穀類・魚介類・野菜・果物を豊富に摂り、オリーブオイルを使うということ。そして、脂肪の摂取量は多いものの、バターは少量しか使わないからではないでしょうか?
反対に北イタリアでは、“豚肉や動物性脂肪を多く摂っている”ので心臓病や大腸ガンが多くなっています。
③「多価不飽和脂肪酸」
αリノレン酸(オメガ3)
『αリノレン酸』は細胞膜をつくる“必須脂肪酸”で、おもに「DHA・EPA」などの豊富な“青魚・亜麻仁油・エゴマ油”から摂ることができます。
- 「赤血中膜」でオメガ3の比率が高いと、赤血球の柔軟性が保たれ血栓(血の固まり)ができるのを予防してくれる。
- 「赤血中膜」でオメガ3の比率が高いと、赤血球の柔軟性が保たれ血栓(血の固まり)ができるのを予防してくれる。
- 細胞へのエネルギー提供を速やかにし、運動能力を上げたり頭の働きをよくする。
- ガンやアレルギーを防ぐ
- 気持ちを落ちつかせることにも関係し、“子供の脳と体の成長”にも必要である。
とくに妊婦や授乳婦がじゅうぶんに「オメガ3」を摂っていれば、“子供のアレルギー予防”にもなることはとても重要ですね (*^^*)
リノール酸(オメガ6)
『リノール酸』はαリノレン酸と同じく、食べものからでしか摂れない“必須脂肪酸”です。
そして、「オメガ6」の脂肪酸は“紅花油・ゴマ油・ヒマワリ油・コーン油・大豆油”など、ほとんどのサラダ油とよばれる油に多く含まれていて、マーガリンやショートニングの原料にもなっています。
- 細胞膜の原料
- “痛みを引き起こすタイプ”の「プロスタグランディン」の材料
これらの油を使って「天ぷら・フライ・ドレッシング・ケーキ・クッキー」などをつくるので、気づかないうちに“かなりの量のリノール酸を食べている”人がすごく多いんですね (>_<)
「オメガ6」の脂肪酸は、穀類や豆類・野菜に含まれています。なのでこれらを食べていれば、わざわざ摂らなくても“必要量が不足することはない”のです。
以前、この脂肪酸はコレステロールを下げるので“体によい油”とされてきました。しかし、いまでは“コレステロールを上げてしまう”ことがわかってきたのです。
さらに「オメガ6」の摂り過ぎは“炎症を起こしやすいタイプ”のプロスタグランディンをつくる働きもあります。
ですので、摂り過ぎよる「アレルギー疾患・心臓病・ガン・生理痛」など、さまざまな病気を悪化させてしまうので注意が必要です (>_<)
『リノール酸』は“酸化しやすい脂肪酸”なので揚げ物や油炒めに使わないこと、もしくは“食べる回数を減らす”などの工夫をするといいですね (^^)v
「αリノレン酸(オメガ3)」と「リノール酸(オメガ6)」の関係
「オメガ3」と「オメガ6」の系列は、互いに“拮抗作用”をもっています。
例えば、出血が起きると「オメガ6」を原料にしたプロスタグランディンが増えて、血小板が凝縮し“出血を止め”ます。
反対に血栓ができそうになると「オメガ3」を原料にしたプロスタグランディンが増えて、“血液が流れやすい”状態になるのです。
普段の生活で「αリノレン酸(オメガ3)」と「リノール酸(オメガ6)」は、【 1 : 1 】~【 1 : 4 】ぐらいの比率で摂るのが理想となっいます。
しかし、現代の食事では【1:20】ともいわれるくらい“リノール酸(オメガ6)を摂り過ぎ”ているのが現状。そのため「アレルギー疾患や心臓病・ガン・生理痛」など、さまざまな病気を引き起こしてしまうんですね (>_<)
まとめ
“必須ではない”けれど、コレステロールの原料になるために必要な『飽和脂肪酸』。そして、“必須脂肪酸”である『不飽和脂肪酸』。『不飽和脂肪酸』のうち、「オメガ3系」と「オメガ6系」は人体では合成できないので、外部から取り入れる必要があります。
しかし、現代の食生活では“脂肪酸が不足したり摂取バランスが崩れている”ために、細胞の働きやホルモンに多くのトラブルを起こし“病気の原因”にもなっています。
“積極的にとるべき脂肪酸”と“控えるべき脂肪酸”のバランスを考えながら、日々の食生活に気をつけていきましょう!
【次回はこちら↓↓】
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