前回は、『ビタミン』の“種類”や“働き”についてお伝えしました。
『ビタミン』の役割は、“生命活動にともなう様々な化学反応をたすけ、体の機能を調整する”こと。「車」に例えると、車の機能をスムーズに発揮させる“オイル”や“潤滑油”となります。
このようにとても大切な役割をしてるビタミンですが、現代の食生活において“ビタミン不足”が心配されています。
“飽食の時代”といわれている現代で、なぜこのようなことがおきているのでしょうか?
今回は『ビタミン』において、
- なぜ、“現代の食生活”では『ビタミン不足』になりがちなのか?
- ビタミンが不足すると、体にどのような“影響”がでるのか?
について、お伝えしていきますね。
『ビタミン』って、“1日どれくらい”摂ればいいの?
『ビタミン』の“生理作用”と「摂取基準」
一言に『ビタミン』といっても多くの種類があります。そして、各々が“生命活動の維持”に必要な作用を担い、これを「生理作用」といいます。
“生理作用”のために必要なビタミンを摂らないと体に「欠乏症」が発生します。そうならないために必要なビタミンの“摂取量”が「最小必要量」といわれるものなのです。
この「最小必要量」に安全を見積もって“2割前後の上乗せをした量”が、そのビタミンにおける1日の『摂取基準』となっています。(ただし、国によって差があり)。
『摂取基準』は“欠乏症”にならないための目安。「国民栄養調査」や学校・病院などの給食、料理などの献立はこの基準をもとにしているんですね。
実際のところ、「個々の作物が育てられた土地や時期・収穫してから調理するまでの損失・その人のストレス状態や胃腸の状態・年齢・運動量」など、様々な要因で“必要量”も違ってきます。
そのため、「病気」とまではいわないけれど“なんとなく調子がでない”と訴える方に『潜在的なビタミン欠乏症』の人がかなりいるのです。
『ビタミン』の“薬理作用”と「薬用量」
1日の「摂取基準」の“3~100倍”という大量のビタミンを摂取しつづけると、“生理作用にとどまらない効果”がでることがあり、その作用を『薬理作用』といいます。
しかし、実際には“食事から「生理作用」すら摂れていない人も多い”のが現状。その場合はビタミンの「サプリメント(栄養補給食品)」を利用することが必要となります。
サプリメントを摂ることで、不足している“生理作用”のための補いができます。
また、「癌・心臓病・脳卒中・糖尿病・骨粗鬆症」などの“生活習慣病”や“老化”を防いだり、治したりすることで“健康のレベルアップ”も期待できるんですね(*^^)v
とっても怖い!!『ビタミン』が不足すると・・
『ビタミン』といっても種類が多いので、ここでは“日本人の多くが不足”している「ビタミンB₁」欠乏症の経過をみていきましょう。
健康なボランティアの人に、「すべての栄養素を含むけれど、“ビタミンB₁”だけがわずかに不足した食事を続けてもらうと、どうなるか?」という経過例があります。
① 数日で
数日間、“わずかな欠乏”でも「ビタミンの摂取不足」が続くと、体に蓄えられた『ビタミン』が少しずつ失われます。
その結果、血液中や尿中に排泄する“ビタミン量”が減少。体内のビタミン量が“ある程度以下”になると、「ビタミン」の協力で行われている体内の“代謝反応”に異常が起きてきます。
そして、エネルギー生産が“低下”し、「ビタミン」が関係する様々な反応が乱れてきます。その結果、「無気力・憂鬱・食欲不振・疲労感・うつ」などの症状が現れてきます。しかし、それが“栄養不足で起きたとは理解されない”ので、医者にかからないことが多くなります。
② 1ヶ月で・・
1ヶ月も“欠乏症”が続くと、「心臓・胃の不調・不眠・便秘・手足のシビレ・頭の回転が鈍る・集中力の低下」など、ビタミン欠乏の特徴である“清浄”があらわれます。
③ 5ヶ月で・・・
数ヶ月の“欠乏症”が続くと、「心電図の乱れ・胃酸の分泌停止・うつ・精神障害」などの病気になります。
このように「ビタミン不足」は、“体や心”に多くの不調をおこしますが、“栄養不足だと気づくひとは少ない”のです。この段階で病院に行くとビタミンが処方されるのではなく、“現れた症状”に対する薬が処方されるのです。
ビタミン不足の“原因”
食品に含まれる「栄養素」の“低下”と“無駄使い”
昔のように「有機肥料」ではなく、“化学肥料”にたよる農業・“畑を休ませない”で収穫しつづたこと・“土を使わない”水耕栽培・ビニルハウス栽培・品種改良・遺伝子組み換えなどが重なって、野菜や果物にふくまれる栄養素は減りづつけているのです。
また、「精製食品・加工食品・食物添加物・食事の偏り(肉・乳製品・砂糖・脂肪)・ストレス・環境ホルモン」なども“栄養素の無駄使い”をさせています。
その結果、多くの日本人は“カロリーは取れていけど栄養不足”になっているんですね (>_<)
『水溶性ビタミン』は、調理でも“減る”
実は、ビタミンは“収穫したときから減っている”のです。
水で洗う段階でもビタミンは減り、「水溶性ビタミン」は調理によって大幅に失われます。とくに“茹でたり煮たり”することで多くのビタミンが失われます。
例えば、ほうれん草の「カロチン」は茹でると“損失率”がもっとも大きく、10%~25%も失われます。そして『ビタミンC』は“32%~84%”も失われてしまうのです!
さらに、ほうれん草を“茹でてから水にさらす”と、ほとんど“ビタミンCは残っていない”ことになります。
ジャガイモの「ビタミンC」について、次のような報告があります。
皮をむかずに“丸のまま”茹でたときの「100gのビタミンC含有量」を調べると、
- 生:5.4mg
- 加熱後 20分:4mg
- 加熱後 60分:2.5mg
- 加熱後 135分:0.9mg
になったということでした。
つまり、“加熱するほど、急激にビタミンCは減少していく”のです。
これは、じゃがいもを“丸のまま”で茹でた結果です。もし“小さく切って”同じ実験をすると、“より急激”にビタミンCは失われるはずです。
※『脂溶性ビタミン』は“水洗い”や“加熱調理”による損失は少なく、“油と一緒に調理し摂取する”ことで「吸収率」が高まります。
例えば、トマトを「オリーブ油」で炒める“イタリア料理”は、トマトの「ビタミンA・E」を摂るためには“効果的な調理法”といえますね (*^^*)
まとめ
“ビタミン不足”、つまり摂取量が「最低必要量」を満たさないことが原因でおこる病気が【ビタミン欠乏症】。そして代表例として、次のものがあります。
『夜盲症』・・・ビタミンA不足
『脚気』・・・ビタミンB₁不足
『壊血病』・・・ビタミンC不足
『くる病・骨軟化症』・・・ビタミンD不足
『ビタミン』の必要量はわずかですが、ほとんどが“体内で合成できない”ので毎日コンスタントに摂る必要があります。
しかし、現代の食生活では「ビタミンの“潜在的欠乏症”の広がり」が懸念されているのが現状。とくに、日本人は“エネルギー源を「糖質」に多くたよる”ため、ビタミンB群が不足しがちです。
各地の検査で、血液中の「ビタミンB群」が“正常量より少ない”方が多くみられ、結果として「体がだるい・疲労感・めまい・頭痛・動悸・息切れ・便秘・下痢」などの不定愁訴を訴える方も多くなってきています (>_<)
『必要量のビタミン』は、“3度の食事”でまんべんなく摂るのが理想です。
とくに“疲れがたまったなぁ~”と感じたときは、「体の状態にあったビタミン剤」を活用するのも“疲労解消法”の1つですね (^^)
【次回はこちら↓↓】
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