- キーンという音が気になる
- 静かな場所や寝る前になると、耳鳴りが目立つ
- 仕事で疲れた日や、ストレスが続いたときに耳鳴りが強く感じる
このような経験から、「耳鳴りは自律神経が乱れているから起こるのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、耳鳴りについて考えるときに大切なのは、耳鳴り=自律神経の乱れが原因、と単純に決めつけないことです。
耳鳴りには、聴力の変化、大きな音への曝露、耳の病気、耳垢、薬の影響など、さまざまな原因や背景が考えられます。原因がはっきりしない場合もあります。
一方で、
- ストレスが続いている
- 身体の疲れが抜けていない
- 睡眠不足が続いている
- 首や肩に力が入りやすい
- 耳鳴りへの不安が強くなっている
といった状態が重なることで、同じ耳鳴りでも以前より強く感じたり、意識が向きやすくなったりすることはあります。
耳鳴りそのものの「原因」と、耳鳴りを「強く感じる・気になりやすくなる要素」は、分けて考えることが大切です。
この記事では、耳鳴りを何でも自律神経の問題として説明するのではなく、まず耳や聴力について確認する大切さをお伝えしたうえで、ストレス・疲労・睡眠・身体の緊張などとのつながりを整理していきます。
- 耳鳴りを「自律神経の乱れ」だけで説明できない理由
- 耳鳴りがあるときに、まず耳や聴力について確認しておきたい理由
- ストレスや疲労が続くと、耳鳴りが気になりやすくなる背景
- 睡眠や身体の緊張、耳鳴りへの意識との関係
- 耳鳴りだけを見るのではなく、身体や生活全体から考えるためのポイント
耳鳴りとはどのような症状?
耳鳴りとは、周囲で実際に音が鳴っていないにもかかわらず、本人には音が聞こえている状態を指します。
「キーン」という高い音だけではありません。人によって、「ジー・ピー・ザー・ゴー・ブーン」など、聞こえ方はさまざまです。
片耳だけに感じることもあれば、両耳に感じることもあります。常に聞こえている人もいれば、ときどき気になる程度の人もいます。
また、音の大きさそのものだけではなく、「夜になると気になる」・「静かな場所にいると目立つ」・「仕事で疲れた日に強く感じる」など、時間帯や生活の状態によって感じ方が変化することもあります。
NIDCD(米国国立聴覚・コミュニケーション障害研究所)でも、耳鳴りは人によって聞こえ方や持続の仕方が大きく異なり、聴力低下などさまざまな状態と関連することが説明されています。
耳鳴りの背景は一つとは限らない
耳鳴りがすると、「ストレスかな?」・「自律神経かな?」と考えてしまうことがあります。
しかし、耳鳴りにはさまざまな原因や背景があります。
たとえば、
- 加齢や大きな音などによる聴力の変化
- 耳垢や耳の炎症
- メニエール病など内耳に関係する病気
- 薬の副作用
- 大きな音を聞いた後の耳への影響
- 頭部や首の外傷
- その他の身体的な要因
などです。
そして、検査をしても明確な原因がわからない耳鳴りもあります。
「自律神経が乱れているから耳鳴りがする」と最初から原因を決めてしまわず、まず耳や聴力の状態を確認することが大切です。

まず耳鼻咽喉科で確認したい耳鳴りもある
耳鳴りがあるからといって、すべて重大な病気につながるわけではありません。一方で、耳鳴りだけだと思っていても、実際には聴力の変化や耳の病気が隠れている場合があります。
特に、
- 急に耳が聞こえにくくなった
- 片耳の聞こえ方が突然変わった
- 耳鳴りと一緒に耳が詰まったような感じや、強いめまいが出た
といった場合には、自己判断で「疲れや自律神経の問題だろう」と済ませないことが大切です。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、突然の難聴に耳鳴りや耳の閉塞感、めまいなどを伴うことがあり、突発性難聴では早期に耳鼻咽喉科を受診して検査・治療につなげることが重要としています。
突然の聞こえにくさを伴う耳鳴りや、急に生じた聴力の変化がある場合は、「自律神経かな」と様子を見続けず、早めに耳鼻咽喉科へ相談しましょう。
耳鳴りと自律神経はどのように関係する?
ここまでお伝えしたように、「自律神経が乱れると耳鳴りが起こる」と一つの原因で説明することはできません。
では、なぜ耳鳴りと自律神経が一緒に語られることが多いのでしょうか。
その理由を考えるときには、耳鳴りそのものを発生させる原因だけではなく、「耳鳴りを脳がどのように受け取り、どれくらい意識するか」という視点も大切になります。
耳鳴りについては、耳から脳へ伝わる音の情報だけではなく、脳の中で音を処理する領域と、注意や感情に関係する領域との関わりも研究されています。
つまり、「ストレスを感じたから耳鳴りが発生した」と単純に考えるのではなく、ストレスや疲労などで心身に余裕がない状態になると、もともと存在している耳鳴りに注意が向きやすくなったり、不快感が強くなったりする可能性があると考えたほうが、実際の状態を理解しやすくなります。
自律神経は耳鳴りの「原因」と決めつけるのではなく、ストレス・睡眠・身体の緊張などを通して、耳鳴りの感じ方に関係する可能性があるものとして考えることが大切です。
ストレスが続くと耳鳴りが気になりやすくなるのはなぜ?
耳鳴りについて調べていると、「ストレスで耳鳴りが起こる」「自律神経が乱れると耳鳴りがする」といった説明を目にすることがあります。
ただし、ここでも「ストレスが耳鳴りの原因」と一つに決めてしまわないことが大切です。
NICE(英国国立医療技術評価機構)の耳鳴りに関するガイドラインでは、ストレスは耳鳴りを悪化させることがある要素の一つとして挙げられています。
これは、「ストレスがある人は耳鳴りになる」という意味ではありません。
耳鳴りには聴力や耳の状態などさまざまな背景があり、そのうえでストレスが重なると、耳鳴りへの注意や不快感が強くなることがあると考えるほうが自然です。
ストレスがあると身体は「周囲の変化」に敏感になりやすい
強いストレスを感じているとき、私たちの身体は緊張しやすくなります。
たとえば、
- 呼吸が浅くなる
- 肩や首に力が入る
- 心拍が速くなる
- 周囲の音や身体感覚が気になる
- なかなかリラックスできない
といった変化を感じることがあります。こうした反応には、自律神経も関係しています。
自律神経には、活動するときに働きやすい交感神経と、休息するときに働きやすい副交感神経があります。
ただし、「交感神経が優位だから耳鳴りが起きる」と単純に説明できるものではありません。
むしろ、ストレスが続いて心身が緊張した状態では、普段ならそれほど意識しない身体の感覚や音にも注意が向きやすくなることがあります。
ストレスと耳鳴りの関係は、「ストレスが耳鳴りを作る」と考えるより、心身の緊張によって耳鳴りへの注意や不快感が強まりやすくなる可能性がある、と捉えることが大切です。
「気になるほど、さらに気になる」ということもある
耳鳴りが聞こえ始めると、「この音は何だろう」・「ずっと続いたらどうしよう」・「耳の病気ではないだろうか」と不安になるのは自然なことです。
特に、原因がわからない状態では、耳鳴りが鳴っているかどうかを何度も確かめたくなることもあります。
すると、
耳鳴りを確認する
↓
耳鳴りに注意が向く
↓
以前より音が目立つ
↓
不安になる
↓
さらに耳鳴りを確認する
という流れが生まれることがあります。
NIDCDでは、耳鳴りには音を処理する聴覚野だけでなく、注意や感情に関係する脳の領域との相互作用が関係している可能性が示されています。
これは決して、「耳鳴りは気のせい」「考えすぎだから聞こえる」ということではありません。
耳鳴りとして感じている音は本人にとって実際の感覚です。
そのうえで、不安や注意の向き方によって、耳鳴りのつらさや気になり方が変わる可能性があるということです。

疲労や睡眠不足と耳鳴りの関係
「疲れてくると耳鳴りが気になる」「寝不足の日はいつもより音が大きく感じる」という方もいます。
ただし、これについても、疲労や睡眠不足が直接耳鳴りを発生させているとは限りません。
疲れているときには、身体だけではなく、集中力や感情の余裕も少なくなります。
そのため、普段なら流せている刺激が気になったり、耳鳴りへの不快感が強くなったりすることがあります。
耳鳴りと睡眠はお互いに影響し合うことがある
耳鳴りがある方の中には、睡眠について悩む方もいます。
たとえば、「布団に入ると耳鳴りが気になる」「音が気になってなかなか眠れない」「夜中に目が覚めると耳鳴りに意識が向いてしまう」といったケースです。
NICEの耳鳴りガイドラインでも、耳鳴りが睡眠に与える影響を確認することが推奨されており、耳鳴りのある人では不眠が問題になることがあるとされています。
一方で、眠れない日が続けば疲労がたまり、ストレスへの余裕も少なくなります。
その結果、
耳鳴りが気になって眠れない
↓
睡眠不足で疲れる
↓
心身に余裕がなくなる
↓
さらに耳鳴りが気になる
という循環につながることもあります。
耳鳴りが気になるときは、耳鳴りの音だけではなく、「最近きちんと眠れているか」「疲れがたまっていないか」という生活全体を見ることも大切です。
寝る前に耳鳴りが目立ちやすい理由
日中は、
- 仕事をする
- 人と話す
- テレビを見る
- 車や電車の音を聞く
- 家事をする
など、さまざまな音や刺激があります。そのため、耳鳴りがあっても意識が別のところに向いていることがあります。
ところが、夜になって部屋が静かになると、周囲の音が少なくなります。すると、相対的に耳鳴りが目立って感じられることがあります。
これは、夜になると耳鳴りそのものが必ず強くなっているという意味ではありません。
周囲が静かになったことで、耳鳴りを認識しやすくなっている場合もあります。
NHSでも、耳鳴りが気になる場合に完全な無音状態にせず、やさしい音を利用する方法が紹介されています。

首や肩の緊張と耳鳴りは関係する?
耳鳴りが気になる方の中には、「首もこっている」「肩にいつも力が入っている」「首を動かすと耳鳴りの感じ方が変わる」という方もいます。
そのため、「首こりが耳鳴りの原因なのでは?」と思うこともあるかもしれません。
しかし、首や肩がこっている=それが耳鳴りの原因とは限りません。耳鳴りと首・肩の状態については、もう少し丁寧に考える必要があります。
身体の動きで耳鳴りの感じ方が変わる場合もある
耳鳴りの中には、頭や首を動かしたり、身体の一部に触れたりすることで、音の大きさや高さなどが一時的に変化する場合があります。
NIDCDでは、このようなものを体性感覚性耳鳴り(somatosensory tinnitus)として紹介しています。
つまり、耳鳴りの感じ方には、耳から入る情報だけでなく、身体から脳へ伝わる感覚が関係している場合もあるということです。
ただし、「首を動かして音が変わるから、首こりが原因」とまでは言えません。
首や肩、あご周辺の状態が耳鳴りの感じ方と関係するケースがある、という理解にとどめることが大切です。
ストレスが続くと首や肩にも力が入りやすい
仕事や家事などで忙しい日が続いたり、不安や緊張が続いたりすると、無意識のうちに肩をすくめたり、歯を食いしばったりすることがあります。
長時間のスマートフォンやパソコン作業によって、同じ姿勢が続くこともあるでしょう。
すると、
- 首が張る
- 肩が重い
- あご周りに力が入る
- 呼吸が浅く感じる
- 身体全体が休まりにくい
といった状態が重なることがあります。
このような身体の緊張と耳鳴りが同時に存在することはありますが、どちらか一方だけを原因として考えないことが大切です。
「耳鳴りがあるから耳だけ」「首がこっているから首だけ」と分けすぎず、睡眠・疲労・ストレス・身体の緊張などを含めて全体を見る視点が役立つことがあります。

耳鳴りが気になるときに生活の中で見直したいこと
耳鳴りが気になると、「何をすれば音がなくなるのだろう」と考えてしまうかもしれません。
しかし、耳鳴りにはさまざまな背景があるため、生活習慣を一つ変えれば必ず耳鳴りがなくなる、というものではありません。
一方で、
- 睡眠不足が続いている
- 疲れが抜けていない
- ストレスや緊張が続いている
- 大きな音にさらされる機会が多い
- 静かな場所で耳鳴りばかり確認してしまう
といった状態が重なっている場合には、耳鳴りそのものだけではなく、心身への負担を少し減らしていくことが役立つ場合があります。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会でも、疲れ・ストレス・睡眠不足・肩こりなどは、耳鳴りの増悪因子として挙げられています。
耳鳴りがあるときは「音を消すこと」だけを目標にするのではなく、睡眠・疲労・緊張など、今の身体に負担が重なっていないかを見直してみることも大切です。
完全な無音にしすぎない
特に夜や静かな部屋では、周囲の音が少ないため、耳鳴りが目立ちやすくなることがあります。
そのようなときに、「静かにして耳鳴りがなくなるか確認しよう」とすると、かえって耳鳴りへ意識が集中してしまう場合があります。
耳鳴りが気になる場合には、
- 小さな音量で音楽を流す
- ラジオを小さく流す
- 雨音や自然音を利用する
- 扇風機や空調などの生活音を利用する
など、耳鳴りを完全にかき消さない程度のやさしい音を取り入れる方法があります。
NHSでは、耳鳴りへの対処として完全な無音を避け、やさしい音を利用する方法を紹介しています。NIDCDでも、自然音などを利用するサウンドジェネレーターが、リラックスや睡眠を助ける選択肢として説明されています。
ただし、「音を流せば耳鳴りが治る」という意味ではありません。
耳鳴りだけに意識が集中しすぎないよう、過ごしやすい音環境をつくる一つの方法として考えてみましょう。
睡眠のリズムをできる範囲で整える
耳鳴りが気になると、「今日も眠れなかったらどうしよう」と、寝る前から不安になることがあります。
その不安によって身体が緊張し、さらに眠りに入りにくくなることもあります。
そのため、
- 毎日の起床時間を大きく変えすぎない
- 寝る直前までスマートフォンを見続けない
- 入浴などで身体を休める時間をつくる
- 夕方以降のカフェインで眠りにくくなる人は摂り方を見直す
- 眠る前に仕事や考え事を続けすぎない
など、基本的な睡眠環境を整えることも一つです。
NHSでも、耳鳴りへの対処の一つとして睡眠習慣を整えることが紹介されています。
大切なのは、「耳鳴りをなくすために絶対に眠らなければ」と自分を追い込まないことです。
睡眠も耳鳴りも、意識して完全にコントロールしようとするほど負担になる場合があります。
まずは、眠りやすい環境を少しずつ整えていきましょう。
身体の緊張に気づいたら、力を抜く時間をつくる
耳鳴りが気になるとき、身体の状態を確認すると、「肩が上がっていた」「歯を食いしばっていた」「息を止めるようにしていた」と気づくことがあります。
そのような場合には、
- ゆっくり息を吐く
- 肩を上下させて力を抜く
- 長時間同じ姿勢を続けない
- 軽く身体を動かす
- 休憩する時間をつくる
といったことも試してみましょう。
これは、首や肩をほぐせば耳鳴りが治るという意味ではありません。
耳鳴りとは別に、身体全体が緊張した状態が続いているのであれば、その負担を減らしてあげるという考え方です。

耳鳴りを何度も確認しすぎないことも大切
耳鳴りが心配になると、「今は鳴っているかな?」・「昨日より大きくないかな?」・「右耳と左耳ではどうだろう?」と何度も確認したくなることがあります。
症状が気になると確認したくなるのは、決して不自然なことではありません。ただ、耳鳴りに繰り返し注意を向け続けていると、日常生活の中でも耳鳴りを見つけやすくなることがあります。
そのため、耳鳴りがあるかどうかを一日中チェックするのではなく、仕事・家事・趣味・会話など、普段の生活にも意識を戻していくことが大切です。
NIDCDでは、耳鳴りに対する認知行動療法(CBT)などによって、耳鳴りに対する反応や生活への影響を軽減する方法が用いられていることを紹介しています。
「気にしないようにする」と頑張りすぎなくていい
ここで注意したいのが、「気にしなければいい」と無理に耳鳴りを無視しようとすることです。
耳鳴りに悩んでいる人にとって、聞こえている音を単純に「気にするな」と言われても難しいものです。
むしろ、「また気にしてしまった」「気にしないようにできない」と自分を責めることにもつながりかねません。
耳鳴りが聞こえたときは、「今、耳鳴りが気になっているんだな」と一度気づいたうえで、できそうであれば目の前の生活へ少しずつ意識を戻していく。その程度からで十分です。
「耳鳴りを気にしないようにする」のではなく、「耳鳴りだけに一日の意識を奪われすぎないようにする」と考えると、少し取り組みやすくなります。
耳鳴りがあるときに医療機関へ相談する目安
耳鳴りは珍しい症状ではありませんが、「いつ受診したらいいのだろう」と迷う方も多いと思います。
耳鳴りが続いている場合や生活への影響が大きい場合には、まず耳鼻咽喉科で耳や聴力の状態を確認することが大切です。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、片耳の難聴、急に起こった難聴、耳鳴りやめまいを伴う難聴などについて、治療可能な耳の病気が関係している可能性もあるため、早めの耳鼻咽喉科受診を勧めています。
突然の聞こえにくさを伴う場合
特に注意したいのが、突然、片耳または両耳が聞こえにくくなり、同時に耳鳴りが出た場合です。
突発性難聴では、
- 突然の聞こえにくさ
- 耳鳴り
- 耳がふさがった感じ
- めまい
などがみられることがあります。
NICEでも、3日以内に突然生じた難聴に耳鳴りを伴う場合には、迅速な専門的評価が必要とされています。
突然聞こえにくくなった場合は、「疲れているだけ」「自律神経の問題だろう」と自己判断せず、できるだけ早く耳鼻咽喉科などの医療機関へ相談してください。
脈に合わせて聞こえる耳鳴り
「ドクンドクン」・「ザー、ザー」など、心臓の脈拍に合わせるように聞こえる耳鳴りは、拍動性耳鳴りと呼ばれることがあります。
一般的な耳鳴りとは異なる原因が隠れている場合があるため、医療機関で確認することが大切です。
NICEでは、持続する拍動性耳鳴りについて専門的な評価を検討し、拍動性耳鳴りに対して画像検査を行うことを推奨しています。
片耳だけの耳鳴りが続いている場合
耳鳴りが片耳だけに続いている場合も、一度耳鼻咽喉科で確認しておくとよいでしょう。
特に、
- 片耳だけ聞こえにくい
- 左右で聞こえ方が違う
- 片耳の耳鳴りが続いている
という場合には、聴力検査などによって耳の状態を確認することが大切です。
NICEでも、持続する片側性耳鳴りや、左右差のある難聴を伴う耳鳴りについて専門的な評価を検討するよう示しています。
めまいや顔の動かしにくさなどを伴う場合
耳鳴りと一緒に、
- 急に強いめまいが出た
- 顔の片側が動かしにくい
- 身体の一部に急な力の入りにくさや違和感がある
- 頭を強く打ったあとに耳鳴りが出た
などの症状がある場合には、耳鳴りだけの問題として考えないことが大切です。
NICEでは、耳鳴りに突然の神経症状やコントロールできない急性のめまいなどを伴う場合には、直ちに評価することを推奨しています。
NHSでも、頭部外傷後の耳鳴りや、突然の難聴・顔面の筋力低下・回転性めまいを伴う場合には緊急の対応が必要としています。
耳鳴り以外にも急な神経症状や強いめまいなどがある場合は、通常の耳鳴りとして様子を見続けず、速やかに医療機関へ相談してください。
生活に支障が出るほど耳鳴りがつらい場合
緊急性の高い症状がなくても、
- 耳鳴りが続いて眠れない
- 仕事や家事に集中できない
- 音が気になって外出するのがつらい
- 耳鳴りへの不安で一日中苦しい
といった状態であれば、我慢し続ける必要はありません。
耳鳴りは、音の大きさだけではなく、睡眠・集中力・気持ち・日常生活にどれくらい影響しているかも重要です。
NHSでも、耳鳴りが継続する、悪化する、睡眠や集中に影響する、強い不安につながっている場合には医療機関へ相談することを勧めています。
「耳鳴りくらいで受診していいのかな」と遠慮せず、困っていること自体を相談して大丈夫です。

耳鳴りと上手につき合うために大切なこと
耳鳴りが続いていると、「いつまでこの音が続くのだろう」・「何か悪い病気ではないだろうか」・「このままずっと気になり続けるのではないか」と、不安になることもあると思います。
まず大切なのは、必要に応じて耳鼻咽喉科を受診し、耳や聴力に確認しておくべき問題がないかを調べることです。
耳鳴りには聴力の変化をはじめ、耳や身体のさまざまな状態が関係することがあり、耳鳴りのある人には聴力評価を行うことも推奨されています。
そのうえで、大きな問題が見つからなかったとしても、「異常がないなら気のせい」ということではありません。
本人が耳鳴りを感じていること、それによって眠りにくかったり、不安になったり、生活に集中しにくくなったりしていることは、実際に起きている困りごとです。
耳鳴りの音だけを追いかけすぎない
耳鳴りが気になると、どうしても、「昨日より大きいか」「今日は何回聞こえたか」「今も鳴っているか」と、音そのものに意識が向きやすくなります。
しかし、耳鳴りのつらさを考えるときには、音だけを見るのではなく、
- 眠れているか
- 疲れがたまっていないか
- 身体に力が入り続けていないか
- 不安が強くなっていないか
- 普段の生活を楽しめているか
といった部分にも目を向けることが大切です。
耳鳴りへの対応では、耳鳴りそのものを完全になくすことだけでなく、耳鳴りによって生じる苦痛や生活への影響を軽くしていくことも重要な考え方です。
認知行動療法など、耳鳴りに対する反応や負担を軽減するために用いられる方法もあります。
耳鳴りだけに生活の中心を奪われないよう、耳・身体・睡眠・気持ち・日常生活を含めて考えていくことが大切です。
「自律神経を整えれば治る」と考えすぎなくていい
耳鳴りについて調べていると、「自律神経を整えましょう」という情報を目にすることがあります。
睡眠をとる、休息する、身体の緊張を減らす、ストレスとの付き合い方を見直すことは、心身の負担を減らすうえで大切です。
しかし、自律神経を整えれば耳鳴りがなくなると考える必要はありません。そもそも、自律神経だけで耳鳴りの原因を説明することはできません。
耳鳴りには聴力や耳の状態などさまざまな背景があり、脳の音を処理する領域だけでなく、注意や感情に関係する領域との関わりも研究されています。
だからこそ、「自律神経が悪い」「ストレスをなくさなければいけない」と一つの原因を探し続けるよりも、今の自分にどのような負担が重なっているのかという視点で身体や生活を見直していくほうが、耳鳴りとの付き合い方を考えやすくなる場合があります。
耳鳴りは「自律神経だけ」で考えないことが大切
今回は、耳鳴りと自律神経の関係について、ストレス・疲労・睡眠・身体の緊張などを含めて解説しました。
大切なポイントをまとめます。
- 耳鳴りには、聴力の変化や耳の病気などさまざまな原因・背景が考えられる
- 「耳鳴り=自律神経の乱れが原因」と断定することはできない
- ストレスや疲労、睡眠不足などが重なることで、耳鳴りへの注意や不快感が強くなることがある
- 首や肩の緊張と耳鳴りが同時にみられることはあるが、「首こりが原因」と単純には言えない
- 耳鳴りそのものの原因と、「耳鳴りが強く感じられる・気になりやすくなる要素」は分けて考える
- 突然の聞こえにくさ、片耳だけ続く耳鳴り、拍動性の耳鳴りなどは医療機関で確認することが大切
耳鳴りが気になると、どうしても音だけに意識が向いてしまいます。しかし、私たちの身体は、耳だけが独立して存在しているわけではありません。
睡眠、疲労、ストレス、身体の緊張、不安、生活環境など、さまざまなものが重なり合っています。
耳鳴りを「自律神経のせい」と決めつけるのではなく、まず必要な医療的確認を行い、そのうえで身体や生活全体を見ていくことが大切です。
よくある質問(FAQ)
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このようなお悩みでお困りではありませんか?
- 耳鼻咽喉科で検査を受けたものの、耳鳴りが気になり続けている
- 疲れたりストレスが重なったりすると、耳鳴りが気になりやすい
- 耳鳴りだけではなく、首や肩の緊張、眠りにくさなども感じている
- 耳鳴りへの不安が強く、身体からなかなか力を抜けない
- 症状だけではなく、最近の生活や身体の状態も含めて一度整理したい
このような場合には、耳鳴りだけを見るのではなく、身体の緊張、呼吸、睡眠、疲労、ストレスなどを含めて自分の状態を振り返ってみることも一つの方法です。
こころみ整骨院では、医療機関で確認すべきことを大切にしながら、身体の状態だけでなく、生活やストレスなども含めてお話を伺っています。
「耳鳴りを治します」とお約束することはできません。その代わり、今の身体にどのような負担が重なっているのかを一緒に整理しながら、少しでも安心して日常を過ごせる状態を目指していきます。





